サイクルスタンプラリーの4C

マーケティングミックスで、4Pが売り手側の視点に基づいているのに対して、買い手側の視点に基づいた4Cというフレームワークがあります。

定義されている方により使用されるワードが異なるようですが、自分的にしっくりとくるのは次の4つのワードによるフレームワークです。

 Customer Value:顧客価値

 Cost:コスト

 Convenience:利便性

 Communication:コミュニケーション

 

コロナになるまで毎年3月~11月の9カ月間は、毎月何かしらのサイクリングイベントに参加していました。主にネットで情報を収集して、だいたい半年前~3か月前には走るイベントが確定していました。しかしコロナになって以降、参加するイベントの中でサイクルスタンプラリーが占める割合が7割を超えてくると、一般的なサイクリングイベントに参加していたころとは参加に至る状況が変わってきました。

サイクリングイベントはコンサートのようにイベントで直接利益を得るためではなく、そのほとんどは地域の観光振興など別の目的をもって開催されています。しかし一般的な製品とは異なり、製品の納入場所と納入日時という重要な流通要素が限定された製品であるサイクリングイベントの特殊性を理解していないと、思うような効果をえることは出来ません。

サイクルスタンプラリーへの参加を重ねるにつれ、いろいろと工夫をされて開催されているにも関わらず参加検討から外れてしまう残念なイベントが多数あります。どこがどう残念なのか、参加者から見た視点によるサイクルスタンプラリーの4Cで整理してみました。

 

参加決定に至る7つの検討ステップ

参加するサイクルスタンプラリーを決定するとき、自分は次のような7つの検討ステップを踏んでいます。なお下線を引いている個所が、一般的なサイクリングイベントとの相違点です。

① 商品の購入候補日(参加日)の決定

 他の用事が入ってなく、既に参加確定イベントと合わせて四週連続サイクリングとはならない休みの日にはサイクリングに行きたいと、半年くらい前から候補日先行で検討が始まります。

※以前、五週連続イベント参加で膝を故障したためmaxは三週連続

② 候補商品(サイクリングイベント)の検索

 その時期(日)に開催されているイベントの中で、日帰りor一泊で参加できそうなイベントを半年くらい前から検索します。

③ 商品性能(コース×距離×獲得標高×スタンプ数)の確認

 コースが走って面白そうか、距離と獲得標高が短すぎず、長すぎず、厳しすぎないか、スタンプ数が多くて連続した走行が阻害されないかなどを確認します。

④ 商品品質(周辺環境)の推定

 コースはわかりやすいか、市街地中心で信号が多くないか、車の通行量が多い幹線道路を走らないか、休憩(食事)ができそうな場所があるかなどをイベント情報とグーグルマップにより推定します。

⑤ 商品の使用(参加)シミュレーション

 ②~④をほぼ満足できるスタンプラリーに対しては、イベント参加時間(走行、休憩、自転車組立等)と公共交通機関(運行ダイヤ)や自家用車(駐車場)を利用したアプローチがマッチするのかシミュレーションを行います。

⑥ コストの計算

 ⑤までクリアすれば、アプローチや宿泊を含めた購入コストを計算します。

⑦ 参加イベントの決定

 最後に各候補イベントの間で③~⑥の比較を行い、参加するスタンプラリーを決定して、必要なら切符や宿泊の手配を行います。

 

検討ステップにおける相違点

半年くらい前:スタンプラリーで半年前から告知されるイベントはほぼありません。開催一ヶ月前は早い方で、開催当日に告知されるものも多数あります。そのため告知された時には別のイベントや用事が既に入ってることがあり、自分の場合は開催期間が短いスタンプラリーにはほぼ参加できません。一般的なサイクリングイベントだと遅くとも3か月前には募集を開始しているため、告知が遅い分だけスタンプラリーはターゲットにできるサイクリストの数が少なくなります。

スタンプ数:一般的なサイクリングイベントのエイドステーションは短くても5kmは離れています。しかし参加対象者を広く設定しているスタンプラリーだと1~2kmごとにスタンプポイントが設定されることもあります。どれだけ連続して走ることが出来るかは、走る価値の一つなので必ず確認した上で決定しています。

コースはわかりやすい:一般的なサイクリングイベントと違いスタンプラリーの場合は走行しながら確認できる案内看板などがないため、推奨ルートあるいはスタンプポイントの位置がHPで確認できないイベント(アプリをインストール→確認は手間が多すぎ検討対象から除外)は、事前にサイクルコンピュータなどにコースをインプットできないため基本的に検討から外します。

休憩(食事)ができそうな場所:スタンプラリーの場合は自分で休憩(食事)するタイミングを設定する必要があるため、グーグルマップで事前に調べています。

駐車場:公共交通機関を利用してスタート(ゴール)地点へのアプローチを検討しますが、利便性が悪いと駐車できる場所を調べます。一般的なサイクリングイベントでは駐車場は100%確保されますが、スタンプラリーではほとんど駐車場の案内はありません。

これまで参加した49件のスタンプラリーで駐車場の案内があったのは、あかいわサイクルスタンプラリーとWAKAYAMA800モバイルスタンプラリー、推奨サイクリングルートを勝手にスタンプラリー化して走った 那須サイクリング、阿蘇サイクリング の4件のみ。他は有料駐車場や十分な駐車スペースのある運動公園、宿泊したホテルなどに停めています。

 

サイクルスタンプラリーの4C

参加決定検討ステップとその相違点から、サイクルスタンプラリーの製品構成要素を参加者の視点で4Cとして整理できます。ちなみに自分の検討順序は利便性→価値→コミュニケーション→コストの順です。正直、完走賞の有無やそのプレゼント内容などで参加は決めません。

参加決定を左右する参加シミュレーションでは、直接的な走る価値である走行距離とコース強度(獲得標高/走行距離)、周辺環境などから自分の走行アベレージを設定して走行時間を算出。利便性であるアプローチに必要な時間を加えて、日帰りできるか一泊ですむか検討します。なおスタンプラリーは一般的なサイクリングイベントよりスタート時間が遅くなる傾向があり、さらに途中で地図を確認するため、自分の場合は走行距離で100km、獲得標高だと1000mを越えるスタンプラリーは基本避けます。またルートがワンウェイでゴールから公共交通機関や車を停めた駐車場まで10kmを越えるような自走が必要となるイベントも避けます。当然ですが推奨ルートやスタンプポイントの場所が事前にわからないイベント走行距離獲得標高といったスタンプラリーを走る価値が算出できないためシミュレーションにまで至りません。

公共交通機関でのアプローチが難しいのに、自家用車で行っても駐車場がないかもしれない場所で開催されているサイクルスタンプラリーに参加できる人は自走できる近隣のわずかな人達だけです。もしサイクルツーリズムなど観光振興の一貫でサイクルスタンプラリーを開催される場合は、駐車場とあわせた Park & Cycling の告知をお願いできればと思います。

なお、車に自転車を積んでわざわざスタンプラリーに参加しようと検討される方ならある程度の料金は許容されると思います。むしろ安い、近いで機械式駐車場に停めることはなく、車から自転車を取り出して組み立てられるスペースの有無の方を気にします。また数時間~半日以上駐車するため、利用者が多い道の駅などは遠慮します。スタート地点から数キロ外れた土日の市役所の駐車場で十分にこと足ります。

※田舎で有料駐車場がなく宿泊ホテルに許可をいただきスタート地点まで4km離れた駐車場を利用した参加事例